瀬戸内海と聞くと、穏やかな気候で美味しい柑橘系のフルーツが実る平和なイメージが湧きますが、かつてはそこに「海賊」がいたのです!
今回はしまなみ海道の今治市・大島にある村上海賊ミュージアムを訪れてみましょう。
瀬戸内海の覇者と言われた「村上海賊」とは、一体どんな活動をしていたのでしょうか?
村上海賊ミュージアムってどんなところ?
村上海賊のことを知るために、まず大島の宮窪にある「村上海賊ミュージアム」に行ってみましょう。
ここには村上海賊についての資料や古文書、展示などが集められており、村上海賊のストーリーを体験も交えながら子どもも大人も楽しく学ぶことができます。
しまなみ海道を観光していると、この「村上海賊」や「村上水軍」という名前をほかの島でも耳にすることがあります。
村上海賊は瀬戸内海西部の海で活躍しており、活動エリアによって下記三家に分かれていました。
- 能島(のしま)村上家
- 来島(くるしま)村上家
- 因島(いんのしま)村上家
そして、この大島の村上海賊ミュージアムは、能島村上家が本拠にしていた場所なのです。
そのため、ここでは主に能島村上海賊についての資料が展示されています。
では、瀬戸内海に3つの拠点があったという村上海賊とは、一体何者なのでしょうか?
まずは村上海賊について見てみましょう。
村上海賊(村上水軍)って?
村上海賊が活躍した時代は、室町時代から戦国時代までさかのぼります。
広島県と愛媛県に属する芸予諸島で活動していましたが、このあたり、実は潮流が激しく航海の難所といわれていたのです。
そこで、水先案内人として海上の警護にあたり、海峡を関所に見立て通航料を徴収し、海の安全を守る活動をしていた者たちがいました。
それが、村上海賊なのです。
「海賊」という名前で呼ばれていましたが、金品を奪う野蛮な行いをしていたわけではありません。
古文書では海上で活躍していた一族として海賊という言葉が使われていたようです。
そして村上海賊は、戦国の世の中になると毛利氏や大友氏などの有力大名と手を組み、海上での戦いや兵糧の輸送などを担うことで勢力を拡大していきました。
そのような軍事勢力としての村上氏は、「村上水軍」と呼ばれるようになりました。
村上水軍が活躍した有名な戦いの1つに、1576年村上水軍が毛利氏に加勢し、織田信長の船団をやぶった第一次木津川口の戦いがあります。
2014年の本屋大賞にも選ばれた小説『村上海賊の娘』ではこの戦いで活躍した能島村上家、村上武吉の娘が主人公となっていますが、能島村上家は村上武吉(たけよし)と息子たち本吉(もとよし)・景親(かげちか)の時代に全盛期を迎えました。
では、この能島村上家の展示がされているミュージアムの中をのぞいていきましょう。
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村上海賊ミュージアムの見所
1階 ー 海賊ライブラリーと屋外展示
1階の見どころは、海賊ライブラリーです。
村上海賊やその時代の海賊についての興味深い書物が集まっており、じっくり研究したい人には嬉しい場所です。
ミュージアムショップやカフェテリアも1階にありますので、お土産探しを楽しんだあとはここで休憩もできますね。
そして、屋外の展示にも是非注目してください。
村上海賊が海上の活動で使用していた小型の船、小早船(こはやぶね)の復元があります。
毎年因島で行われる村上水軍まつりでは、この小早船に乗ったレースも行われるほど、村上水軍を知る上で欠かせない船なのです。
2階 ー 常設展とわくわく体験ルーム
2階には常設展示室があります。
古文書や復元品、美術工芸品などを眺めながら、かつての村上海賊の生活を学びましょう。
能島村上家の全盛期を築いた村上武吉・景親親子が着用していたとされる赤い陣羽織(じんばおり)も見逃せません。
そして、村上海賊に詳しくなったあとは実際に村上海賊に変身することもできるのです!
わくわく体験ルームでは、村上海賊が活躍していた時代の甲冑や小袖を着用することができます。
村上海賊の甲冑をかぶった勇ましい子どもたちの姿を写真に収めてみませんか?
3階 ー 展望室・展望デッキ
最上階である3階に上がると、展望室「しまなみ空中散歩」があります。
しまなみ海道を上から眺めてお散歩を楽しめるステキなエリアなのです。
お天気が良ければ外の展望デッキに出て、目の前に広がる瀬戸内海の能島城跡を眺めてみましょう。
潮流の早さを目にすることができるでしょうか?
村上海賊が支配した瀬戸内の潮流を体験しよう!
村上海賊についての学びはまだ終わりません!
航海の難所と呼ばれるその潮流を、実際にクルーズで体感することができるのです。
宮窪瀬戸潮流体験船の乗り場は、この村上海賊ミュージアムの前にあります。
約40人が乗れる観潮船に乗り、40分のクルーズを楽しみましょう!
村上水軍ミュージアム → 能島城跡 → 船折瀬戸(ふなおりせと) → 鶏小島(にわとりこじま) → 見近島 (みちかじま)→ 伯方・大島大橋を巡ります。
途中エンジンを切って潮流を体験しようという試みもあるのですが、それは船が潮流に流されて回転してしまうほどのスリルを味わうこともできるのですよ。
そんな潮流を見事に制覇していたという村上海賊の魅力が感じられること、間違いなしですね。
村上海賊ミュージアム 詳細
営業時間 | 9:00〜17:00 (入館は16:30まで) |
定休日 | 毎週月曜日(祝日の場合は翌日振替) 12月29日〜1月3日 |
電話番号 | 0897-74-1065 |
料金 | 【一般】 310円 ※団体(20名以上)250円 【高齢者(65歳以上)】 250円 【学生】 160円 ※団体(20名以上)130円 【高校生以下または18歳未満】 無料 |
駐車場 | 無料 普通車50台 大型バス等3台 ※駐輪場あり |
住所 | 愛媛県今治市宮窪町宮窪1285 |
HP | http://www.city.imabari.ehime.jp/museum/suigun/ |
まとめ
瀬戸内海の中でも潮流の早い、航海の難所で果敢に活動していた村上海賊。
貴重な資料や復元品から彼らのことを学び、そして実際に潮流を体感して村上海賊への思いを馳せる旅に出てみませんか?